訓練の指導・監修について
本サービスが提供する高齢者及び認知症者向け言語リハビリ訓練内容は、新潟リハビリテーション大学 道関京子教授の指導・監修 のもとで、日本全体構造臨床言語理論(JIST法)をベースにした専門的な訓練方法の考え方や進め方をもとに作成されています。
本解説は、認知症の方を訓練指導する立場にある方を対象に、本サービスの訓練の訓練方法についてより深く理解していただくことを目的とした情報です。
※ さらに言語訓練方法や臨床言語理論について詳しく知りたい方は、下記の文献を参照ください。
本サービスが提供する高齢者及び認知症者向け言語リハビリ訓練内容は、新潟リハビリテーション大学 道関京子教授の指導・監修 のもとで、日本全体構造臨床言語理論(JIST法)をベースにした専門的な訓練方法の考え方や進め方をもとに作成されています。
本解説は、認知症の方を訓練指導する立場にある方を対象に、本サービスの訓練の訓練方法についてより深く理解していただくことを目的とした情報です。
※ さらに言語訓練方法や臨床言語理論について詳しく知りたい方は、下記の文献を参照ください。
訓練の考え方
- 高齢者の認知症予防用、軽度認知症者向け言語リハビリ訓練には「話しことば練習」をお勧めします。
- 軽度・中度~重度認知症者向けには「リズミカル運動練習」をお勧めします。
- 介護施設では大型テレビを使ったグループ訓練が望ましいです。仲間同士で励みあいながら行うことで、訓練効果が上がります。
- 「リズミカル運動練習」も「話しことば練習」とも訓練ステップ1から練習を行える、基本練習から始めるのが望ましです。話しことばの土台を作りながらの練習となります。
- 練習に飽きたら、自習練習モードでランダム練習してください。
- 集中練習をしたいときは個々練習モードで訓練してください。 「話しことば練習」は任意の練習項目を選択して通常練習、リピート練習、ランダム練習を行ってください。
本サービス訓練の特徴
※ さらに詳しく知りたい方は、
「道関京子・他(2012) :高齢者の言語生活を維持・向上するためのリズミカル運動 日本全体構造臨床言語学会 臨床言語研究 vol13」を参照ください。
- 高齢者に合わせたリズムを活用した運動訓練です。
運動リズムの速さを統一せず運動の種類ごとに調整。リズムの変化で運動の変化を示し、導入拍をリズムではなく運動の方に合わせて変えてあります。 - 器官運動を対側の手で肩に重しをしてもらい代償運動に陥らないような体位で運動できるようにしています。
- 運動の基本となる重力に対する自己受容感覚を知覚してもらうため、どの運動も必ず基本の正中位に正確に戻ってから、次に展開する組み立てになっています。
- 発声運動では、自己受容感覚を刺激する母音発声と高低練習を十分に導入しています。
- 発話運動は話す人が身体の動きと一緒にリズムや感情をこめて唱えられる内容になっています。
- 音運動では、その音の要素特徴をまとめてた運動を具体的な行為で誘導しています。
- リズムの回帰性に気づきやすくするため、練習リズムとは異なった電子音で回帰点を知らせています。
- ことばのイントネーションを不連続帯域あるいは低周波帯域で協調し、具体的動作イメージで運動を誘導して、陳述のプロソディ練習を特化しています。
※ さらに詳しく知りたい方は、
「道関京子・他(2012) :高齢者の言語生活を維持・向上するためのリズミカル運動 日本全体構造臨床言語学会 臨床言語研究 vol13」を参照ください。
【日本全体構造臨床言語法】における訓練の考え方(ご参考用)
本サービスで提供する訓練内容は、以下の考え方を重視して作成されています。
(1) 言語習得における知覚の役割を重視
聴覚、振動覚、視覚、振動触覚、運動・空間感覚、自己受容感覚など、人間の多種の知覚から得られる潜在的な分節構造を、能動的にたどりながら再分節化することを目的としています。
多数の感覚を通して覚えた機能は忘れにくいもので、このように多くの感覚経路を活用して、練習者が自らの力で機能することばを習得していけるように援助しています。
話しことばの抑揚、強さ、緊張の程度、休止、時間(速さ)、周波数、空間、身体や身振り、場面、情緒性等の様々な要素を、日本語話しことば全体の中で理解できるようにするために必要な条件を多数設定してあります。
(2) 話しことばのリズムやイントネーション面を重視
多数の感覚を通して覚えた機能は忘れにくいもので、このように多くの感覚経路を活用して、練習者が自らの力で機能することばを習得していけるように援助しています。
話しことばの抑揚、強さ、緊張の程度、休止、時間(速さ)、周波数、空間、身体や身振り、場面、情緒性等の様々な要素を、日本語話しことば全体の中で理解できるようにするために必要な条件を多数設定してあります。
ことばの学習を効果的に全体的にとらえてもらうため、国語の典型的な音、意味、規則を運搬する話しことばのリズムやイントネーション面の訓練を充実させています。
リズムやイントネーションの訓練は、理論で説明するよりも繰り返し体験することが重要です。ことばは人間の話す行為の中で、ことばとしての意味を持ち、現実となります。
また、リズムやイントネーションを知覚しやすいように、周波数調整器や振動子を併用できるようにしています。
(3) 発声伝達により表現するという欲求を優先
リズムやイントネーションの訓練は、理論で説明するよりも繰り返し体験することが重要です。ことばは人間の話す行為の中で、ことばとしての意味を持ち、現実となります。
また、リズムやイントネーションを知覚しやすいように、周波数調整器や振動子を併用できるようにしています。
表現の質的次元を理論性より情意性(精神作用の完備)から始めてあります。
バラバラに音や単語を並べただけでは、何かを言ったことにはなりません。ことばでの表現は、単純に文法規則に単語を埋め込んでさえいれば、出来上がるものでもありません。単語が集まってまとまって1つの表現をしたとき、初めて何かを言ったことになります。
段階的には、人間がことばを獲得することに対して、自然で連続したものとして次に示すように次第に完備した文に進む過程(渡辺先生の国語構文論)を一貫してたどっています。
(4) 非人間的な、刺激による反応理解の訓練を排除
バラバラに音や単語を並べただけでは、何かを言ったことにはなりません。ことばでの表現は、単純に文法規則に単語を埋め込んでさえいれば、出来上がるものでもありません。単語が集まってまとまって1つの表現をしたとき、初めて何かを言ったことになります。
段階的には、人間がことばを獲得することに対して、自然で連続したものとして次に示すように次第に完備した文に進む過程(渡辺先生の国語構文論)を一貫してたどっています。
- 未分化な本能的叫び
- 話し手と相手とのつながりの把握
- 話し手の主体性の確立
- 対象の判定
人間は、ことばの理解が全部完了してから話しはじめるのではなく、まだことばの本当の意味や全体の広がりに気づかないうちから、ことばの世界に入っていくものです。だから、ことばを「話す」や「理解する」とは、個々に分離された出来事ではなく、同時に体験しながら進行させていく過程なのです。
つまり、ことばの中にいてことばを話すことが、理解しようとする志向的な態度を生み出すのです。
理解しようとする明確な試みは、話す前におこなわれるのではなく、話しながらおこなわれる現象学理論を基盤にしています。
つまり、ことばの中にいてことばを話すことが、理解しようとする志向的な態度を生み出すのです。
理解しようとする明確な試みは、話す前におこなわれるのではなく、話しながらおこなわれる現象学理論を基盤にしています。
参考文献
- 米本恭三監修 道関京子編 新版 失語症のリハビリテーション 全体構造法 基本編 医歯薬出版 2016
- 米本恭三監修 道関京子編 新版 失語症のリハビリテーション 全体構造法 応用編 医歯薬出版 2016
- 道関京子編 全体構造法でとり組む 失語症の在宅リハビリ 医歯薬出版 2007
- 米本恭三監修 道関京子編 失語症のリハビリテーション-全体構造法のすべて 医歯薬出版 1997
- 米本恭三監修 道関京子編 失語症のリハビリテーション-全体構造法のすべて 第2版 医歯薬出版 1997
- 道関 京子 各症候に対するリハビリテーションの実際失語症「Monthly Book Medical Rehabilitation」 特集:高次脳機能障害リハビリテーション実践マニュアル pp.102-110 No70 2006/9 全日本病院出版
- 道関 京子 全体構造法(JIST法)による失語症訓練「高次脳機能障害-その概念と画像診断」 pp.51-59 中外医学社
- 道関 京子、金山 節子、安保 雅博、宮野 佐年 リハビリテーション技術 全体構造法 「Journal of Clinical Rehabilitation」 pp.362-364 Vol.13 No.4 2004/4
- 道関 京子 失語症患者と接するために(1) 「難病と在宅ケア」 Vol.6 No.5 pp.23-26 2000
- 道関 京子 失語症患者と接するために(2) 「難病と在宅ケア」 Vol.6 No.6 pp.51-54 2000
- 道関 京子 ヴェルボトナル法の用語 in 「ヴェルボトナル法入門」改訂版.第三書房 pp159-171 1999
- クロード・ロベルジュ監修、道関 京子編 「失語症の治療 -JIST(全体構造)法-」 ヴェルボトナル実践シリーズ3 1997 第三書房
- 道関 京子 失語症のタイプ診断とJIST法 第10回JIST全国研究大会 プログラム・抄録集 pp.10-21 2007
- 道関 京子 構造的失語症タイプ分類と全体構造(JIST)訓練―第1章タイプ分類― Vol.10 pp.3-11 2008 臨床言語研究 JIST journal
- Barlow,W.The Alexander technique.A.M.Heath and Company,Ltd,1973.(伊藤博訳.アレクサンダー・テクニック.誠信書房,1992)
- Bekesy,G.v.Can we feel the nervous discharges of the end organs during vibratory stimulation of the skin? J.Acoust.Soc.Am.34,6,850-856(1962).
- 深田英朗.口のストレッチング.ごま書房,1990.
- Franklin,B.The effect on consonant discrimination of combining a low-frequency passband in one ear and a high-frequency passband in the other ear.J.Aud.Res.9,365-379(1969).
- Franklin,B.The effect of combining low-and high-frequency passbands on consonant recognition in the hearing impaired.J.Speech Hear.Res.18,719-727(1976).
- Franklin,B.A comparison of the effect on con-sonant discrimination of combining low-and high-frequency passbands in normal,congenital,and adventitious hearing-impaired subjects.J.Am.Audiol.Soc.5,3,168-176(1979).
- Gelb,M.Body lerning - An Introduction to the Alexander technique -.Henry Hdt and Company,Inc,1987.
- Guberina,P.Phonetic rhythms in the Verbo-Tonal system.Rev.Phonet.Appl.16,3-13(1970).
- Guberina,P.Case studies in the use of restricted bands of frequencies in auditory rehabilitation of deaf. Zagreb,Project OVR-YUGO2-63,Institute of Phonetics,Faculty of Arts.1972,p.31.
- Guberina,P.The role of the body in learning foreign languages.Rev.Phonet.Appl.n,73-74-75,45(1985).
- 市川浩.精神としての身体. 勁草書房,1987.
- 鎌田勇.“意味と行為”現象学的社会学の展開.西原和久(編).青土社,1991.
- Keen,E.A Primer in Phenomenological Psychology.Holt,Rinehart and Winston,Inc,1975.(吉田章宏・宮崎清孝.現象学的心理学,第2版.東京大学出版会,1992).
- Левитин,К. Личностъю не рождаются.Издатедъстъо Прогресс,1983.(柴田義松監訳,ヴィゴッキー学派,ナウカ,1984).
- Леонтъев,А.Н. Проблемы развитияпсихики. второе издание, Изд,Мыслъ,1965.(松野豊・木村正一訳.認識の心理学.世界書院,1978)
- Liberman,A.M.Some results of research on speech perception.J.Acoust.Soc.Amer.29,117-123(1957).
- Linden,A.Distorted speech and binaural speech resynthesis tests.Acta Oto-Laryngol.v.58,32(1964)
- Mach,E.“Contour and Contrast Perception”.Sensation and Perception : an Integrated Approach,Schiffman H.R.(Ed.)New York,John Wiley & Sons,INC,1976,p.230-233.
- Martinov,N.Phonetic rhythms used for the stimulation and correction of speech in the Verbo tonal method.Studies on the Verbo-tonal System.Asp,C.W.(ed)Knoxville,University of Tennessee,1971,p.3-4.
- Merleau-Ponty,M.Phenomenologie de la perception,Gallimard,1945.(竹内芳郎・小木貞孝・木田元ほか訳,知覚の現象学1,みすず書房,1967)
- NHK編.日本語発音アクセント辞典.日本放送協会,1985.
- Palva,S.A.Filtered Speech Audiometory.Acta Oto-Laryngol.Supplementum 210.3-86(1965).
- Plummer,S.A.The effects of twenty-two conditions of band-pass filtering on three types of verbal material.Columbus,Ohio State University PhD Dissertation,1972.
- Roberge,C.不連続についての考察.言調聴覚研究シリーズ12,上智大学聴覚言語障害研究センター,1988.
- 田代晃二.美しい日本語の発音.創元社,1984.
- Ticinovic,I. & Sonic,L.Importance of Discontinuity in Frequency and Intensity during the Perception of Speech. Symposia Otorhinolaryngologica Jugoslavica,n.4,318-326(1971)(北村亜矢子訳.不連続についての考察.言調聴覚研究シリーズ12.東京,上智大学聴覚言語障害研究センター,1988,p.30-44).
- Vygotski,L.S.Thought and speech.Selected Psychological Studies.Academy of Pedagogical Science of the RSFSR,1958.(柴田義松,思考と言語,上下巻.明治図書,1980)
- 渡辺実.国語構文論.塙書房,1971.
- 渡辺実.国語文法論.笠間書院,1986.
- 山鳥重.神経心理学入門.医学書院,1986.
- 吉田角太郎,リズム教育の本質とその実際.奈良県立盲唖学校,1955.
- 吉田角太郎,リズムを基調とした音声言語教育の要訣.奈良県立盲唖学校,1956.